宮城彦
@miyagigen

 

文章が書けます。
達筆なほうです。

サンプルを二つ載せます。
他にもいろいろと書けます。
大学時代には論文でトップクラスの成績でした。


「お砂糖」

 昭和中期の横浜の田舎の話。
 一軒の大きな洋館があった。
 一人の歳を取った婆が住んでいた。
 金ならあった。
 2年前に亡くした夫の遺産だった。
 夫は鉄鋼業の大物だった。
 婆の名前は静と言った。
 静は毛糸の赤いセーターを着て、青いスカートを履いていた。
 82才だった。
 面長で細身の地味な女だった。
 籐椅子に腰かけた婆が居間で呟いた。
「茶菓子ちょうだいな。」
 孫の手で籐椅子の手摺を叩いた。
 一人の女中が歩いて来た。
 おかっぱ頭の若い日焼けした女だった。
 年は19。
 独身の身寄りの無い女だった。
 痩せていた。
 青いかすりの着物を着ていた。
 あまり美人ではなかった。
 女中の名前は田矢と言った。
 女中は言った。
「今すぐ持って参ります。
何に致しますか。」
 静は言った。
「そうね、久しぶりにスコーンをちょうだい。
紅茶も入れて。」
 田矢は早歩きで台所に向かった。
 やかんに火を付けてお湯を沸かした。
 黙ってカウンターに置いてあったスコーンを取った。
 高級な磁器の皿にスコーンを置いた。
 何度も置きなおした。
 田矢にはどう置いたらいいのかがわからなかった。
 田矢は悩んだ。
 田矢は考えた。
「そうだ、紅茶の角砂糖を置いてみましょう。」
 田矢はスコーンの横に茶色の角砂糖を二個置いた。
「バランスが取れました。」
 かなり奇妙な見た目の皿になった。
 お湯が沸いた。
 田矢はアールグレイの紅茶を入れた。
 紅茶の入れ方はわかっていた。
 綺麗な琥珀色の紅茶がポットに入った。
 田矢は紅茶をポットからカップに入れた。
 手が少し震えていた。
「これでなんとかなりますね。」
 田矢はスコーンの横の角砂糖を見た。
 角砂糖はキラキラと輝いていた。
 田矢は思わず角砂糖二個をつまんだ。
 田矢はそれを口に入れた。
「遅いわね。」
 静が怒った。
 田矢は焦った。
 紅茶とスコーンをそのまま持っていった。
 静が居間の籐椅子で待っていた。
 静は言った。
「貴方、砂糖食べたわね。」
 田矢は黙って頷いた。
 静が細い目をして鋭い声で言った。
「貴方はもう来なくていい。出ていきなさい。」
 田矢は泣いた。
「早く出ていきなさい。」
 静が睨んだ。
 田矢は何も持たずに玄関に向かった。
 草履を履いた。
「それでいい。もういいの。」
 静の声が聞こえた。
 田矢は玄関を出た。
 田矢は口に堅いものが二つ残っていることに気付いた。
「おかしいわね。溶けないわ。」
 田矢は右手に硬いふたつのものを出した。
 それは二粒の丁寧にカットされた小さなダイヤモンドだった。


 「首里城の弁財天堂」

日本で言えば江戸時代からの物語。
今も続く。
琉球、首里。
大きなお堀で亀が笑っている。
鯉が素早く身を縊らせる。
表の堀を超えて少し入ると弁財天堂。
天女橋が美しい。
琉球王朝独特の赤瓦。
こじんまりとしていながら独特の風格がある。
奥に置かれた弁財天像と独特のお茶に風情がある。

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